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不思議の国ニッポン 日本がドイツに好かれる理由〜??

今年も恒例ドイツ・ニュールンベルグの国際おもちゃ見本市に行ってきました。
世界中のお天気が大荒れ〜ということで、いつになく大雪の寒〜いヨーロッパでした。

見本市訪問も今年で5年連続となり、展示ブースの各店を覗くのも、我ながら上手になったような気がします。
見本市は「体力」と「健脚」とが必須というのは今も変わりませんが、毎年の訪問ですっかり仲良くなった出展者の方たちとの再会やおしゃべりは、1年に1回の互いの最新情報を交換するためにも欠くことのできない重要な時間となっています。今年も通行証を首からぶら下げ、会場を闊歩しながら友好を深めて参りました。

市場経済の混乱・老舗の世代交代…と、残念ながら業界には明るいニュースが少ないようですが、見本市会場の熱気はそんな気分を吹き飛ばしてくれます。

さて、今回は来年150周年を迎える日独友好記念に先駆け「日本とドイツ」の不思議なつながりをご紹介しようと思います。ドイツ発のニュースですから、驚くところもありますが、それはまたご愛敬ということで、楽しんでお読みください!

まず、ドイツ人が持つ日本のイメージをひとことで書くならば、それは「不思議の国」ニッポン。伝統を重んじ、武道や華道といった哲学に通じる文化を大切にする一方、先端技術を誇るハイテクの国であり、最近はサブカルチャーの発信地としても注目を集めているからです。日本に限らずどの国も多様な表情を持つものですが、ドイツ人が先進国と呼ばれる国々を思い描くとき日本の多面性は際立って映るようです。

海外に住んだり、駐在したりすると、何かにつけて自国のことを説明する機会を持ちます。また周囲の人は身近な日本人を通して日本を想像しますから、海外在住者はちょっとした“民間親善大使”の役も務めることにもなります。
そんなとき、どのようにして日本を紹介すればいいのかと苦労は尽きないのですが、ちょうどテレビチャンネル「3sat(ドライザット)」が日本ウィークと題して20本ほどの日本関連番組を放送していて、ドキュメンタリーや座談会、映画などの番組を通して、ドイツにおいて日本がどのようにとらえられているかをレポートする記事を見つけました。以下は、そのレポートからの抜粋です。

日本ウィーク

番組のタイトルと見出しは以下の通り。

◆1月18日(月曜日)
*「世界の宝…日本の文化遺産」厳島/京都/広島(ドキュメント、再放送)
*「日本…髪が支える奇跡の経済成長」少子高齢化に直面 する日本。しかしシルバー世代は経済成長のチャンスでもある…(ドキュメント)
*「ハイテク:大量輸送」東京の鉄道システム(ドキュメント、再放送)
*「坂本龍一…万能のミュージシャン」(座談会)

◆1月19日(火曜日)
*「侍の刀」(ドキュメント、再放送)
*「日本…マラソン修行僧・京都」天台宗・千日回峰行(ドキュメント、再放送)
*「殯(もがり)の森」2007年カンヌ国際映画祭、審査 員特別グランプリ受賞作品(映画)

◆1月20日(水曜日)
*「クリル諸島(千島列島)の男たち」ロシアと日本の漁師(ドキュメント、再放送)
*「会社のための死」日本の労働ストレス(ルポルタージュ、再放送)
*「日本の余暇の過ごし方」(ルポルタージュ、再放送)
*「リング(オリジナル)」(映画、1988年)

◆1月21日(木曜日)
*「芸者とゲームボーイ」(ドキュメント、再放送)
*「日本・落陽の国?」(座談会)
*「隠し剣」(映画、2004年)

◆1月22日(金曜日)
*「神風特攻隊…死の命令」(ドキュメント、再放送)
*「日本…経済マガジン」(座談会)
*「地獄の囚人」太平洋戦争 泰緬鉄道(たいめんてつどう、映画)

◆1月23日(土曜日)
*ファイヤー・レディー 女性花火師(ルポルタージュ、再放送)

◆1月24日(日曜日)
*「シュトゥットガルトシンフォニーオーケストラ」2008年東京公演
*「常に前進 バイオリニスト みどり」(ドキュメント、再放送)
*「ハーモニーの宿…京都俵屋旅館」(ドキュメント、再放送)
*「日本の荒くれ牝馬」女子プロレス・トレーニング
*「村上隆」(ルポルタージュ、再放送)
*「極東の美食マニア」(ドキュメント、再放送)
*「地獄谷の温泉猿」(ドキュメント、再放送)

これだけの数を集めるとドイツ人が日本に寄せる関心の方向性が見えてくるような気がします。もちろん、すべての番組が今回のために制作されたわけではなく10年前の古いルポルタージュも含まれますが、これほどまとまった数の日本関連番組が一挙に放送されたのは初めてではないでしょうか。
当然、番組を制作したドイツ人の視点と日本人の視点は異なっており、だからこそドイツに住む日本人が見ても新しい発見があるとも言えます。

 

例えば、水曜日に放送された「会社のための死」は2000年に制作されたルポルタージュですが、通勤時間を節約するためカプセルホテルに寝泊りする会社員の話や、「全国の自殺者が1日100人を超す」など、ドイツ社会とかけ離れた日本の実態が紹介されています。ドイツの労働者もインフレによる賃金の目減りに直面しリストラの不安を抱えていますが、ストレスの切迫度が違うようです。日本に存在する多くの社会問題はドイツにも存在しますが、困窮者を死に追い詰めず救い上げるセーフティーネットはドイツの方が優れているといえるでしょうか。その差は大きいでしょう。

やっぱり、日本は別格

日本がドイツにとって遠い国であることは確かです。それは、距離の隔たりだけでなく、言葉、文化、歴史、宗教でも共通項は限られています。
両国に通じるのは第二次世界大戦で負けながら急速な経済成長を遂げ、共に先進国となった点でしょう。(ただし、第二次世界大戦で同盟を組んだからという理由で日本に親近感を抱くという話は聞かない!)

 

もっと、率直な書き方をすればアジア諸国を差別するドイツ人はまだまだ存在するのも事実ですが、そんな中でも日本は別格の扱いを受けていると言えます。その理由のひとつが「日本人の質」です。ドイツに住む日本人の多くはビジネスパーソン、学生、研究者など、まがりなりにも教養と社会常識を備えており、犯罪や深刻な社会問題を犯す割合は他国と比べて極めて低いからです。滞在許可を得る際やパスポートのチェックなど日本人だから簡単に済む場合が結構あり、海外在住者には理屈抜きでありがたいことです。もちろん、もし日本から政治難民や経済難民が流入することがあれば話は全く別です。難民であろうとなかろうと人間の尊厳に違いはないのですが、現実問題として難民の多い国にリスペクトを持つのはなかなか難しいでしょう。
しかし、この点からも、日独関係は幸運だと言えるでしょうか。

 

レポートの最後には、限られた情報を基に日本を好きになる「親日家」は、ちょっとしたきっかけで感情の針が逆に振れ「嫌日家」に変身することがあります。これに対し日本のいい面も悪い面も知ったその上で日本を好きになる「知日家」の場合は、そういう気持ちのブレが少ないでしょう。ありがたいことに、知日家のドイツ人は着実に増えています…と、ありました。

 

「不思議の国」ニッポンをこよなく愛するドイツ人を、私たちがどこまで理解し受け止めることができるかについては、友好150周年を機にまたきっと、いろいろな角度から語られることになるでしょう。
さてみなさんには、この遠い国からのメッセージがどのように届いたことでしょうか?

 

〜たちのゆみこ〜