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Toys go green! 国際おもちゃ見本市 inニュールンベルグ

今年で5度目の訪問となったニュールンベルグの見本市です。

毎年、世界中から選りすぐりの最新のおもちゃが展示されるこの見本市の開催に期待するのは、子どもたちの成長の一端に関わる仕事をしている者にとっては、見逃すことができない興味深い国際イベントのひとつだからです。私自身は、日本とは全く違う環境に身を置いて、子どもたちの未来を考えると言う大きなミッションを持っての見本市訪問なのですが…。

ちなみに会場となるニュールンベルグは、ドイツ中部のフランケン地方に位置する都市で、ドイツ通の方なら、ひょっとするとおもちゃよりも、辛口で美味しい丸いボトルのフランケンワインを思い出されるかもしれませんね。

かく言う私も、ドイツ滞在中は美味しいビールも、仕事と共に楽しみのひとつです。

それでは今月の「めーるきっず」、そろそろはじめることにいたしましょう。

国際見本市が開催される、ニュールンベルグは、見本市開催だけでなく、毎年12月にクリスマス市が立つ街としても世界中の人々が注目するメルヘン情緒あふれる国際都市です。

今でも城壁に囲まれた中世ドイツの都市の趣が、街のあちこちで見ることができます。

もともと、印刷技術・木工品・醸造技術・織物・玩具・時計・建築など、手工芸で栄えたこの街は、中世の頃だけでなく、現在も「職人広場」と呼ばれる職人街が、中央駅の真正面にあり、中世の雰囲気を漂わせたままで現存しています。

旧市街の中央には1250-1477年に建設された「聖ローレンツ教会」が、どっしりとした、たたずまいで行き交う人々を優しく見守っています。またこのほか、市内には1352-61年建設の「聖母教会」が、マルクト広場と呼ばれる新鮮な野菜や果物を売る屋台が並ぶ広場の中央に立っています。いま風に言えば、まさしく「地産地消」のライフスタイルがドイツでは徹底していることがわかります。週末の早朝にマルクト広場を訪ねると、朝市のにぎやかな声が広場のあちこちから聞こえてきます。余談ながら、スーパーマーケットでしかお買い物をする機会がなくなってきた都会育ちの私にとっては、マルクト広場のこの朝の風情は何とも言いがたい感動があります!

滞在中、少し早起きをして朝市を散歩しながら、お店を覗くたびに返ってくる笑顔がよそ者の私にも、とびきり優しく感じられ、ついついホテル住まいの現実を忘れ、思わず新鮮な野菜に、見とれては苦笑いです。

しかし、こんなメルヘンの街ニュールンベルグも、第二次世界大戦の終末時には街が壊滅状態となり、破壊された街の修復のために果たした人々の努力は尋常ではなかったようです。

現在のように、「メルヘンの街」として再生するまでには、きっと、たくさんの戦争の傷跡を修復する必要があったことも忘れてはなりません。ナチ台頭の時代に、その思想に傾倒する歴史を歩んだために街の大半が破壊されたニュールンベルグは、現在も街のあちこちに当時の時代を検証する博物館や戦争のメモリアルセンターが、教会の数に匹敵するくらいたくさん並んでいます。

そしてそれはニュールンベルグだけでなく、ドイツのあちこちの街で、今なおナチズムの時代を風化させてしまわないための努力が続けられているのには頭が下がります。「世界戦争は二度と起こさせない…!」と、過去の戦争責任に対する自責の念は、東西ドイツ統一後、再びヨーロッパで一番の大国となったドイツの大きな課題として、いまも生き続けています。また、このことを責任として未来まで継承していこうとするドイツ人の意思の強さには敬意を払いたいと思います。

おっと、またまた脱線!!
見本市のご紹介が、すっかり遅くなってしまいましたね。

毎年見本市では、メインテーマを軸に展示展開されているのですが、今年のメインテーマは「Toys go green」でした。
子どもたちを取り巻く未来の環境への思いがこのような言葉に託されたのでしょう。なぜなら「世界中の子どもたち」のことを思うとき、私たちは、子どもたちの「未来」を一緒に考えないわけにはいきません。しかし、「未来」を考えれば考えるほど、子どもたちへの憂いがつきまとうのも事実です。だからこそ、世界中の子どもたちから笑顔が消えないでいてほしいと思う方が、きっとたくさんいらっしゃるのでしょう。

現実に目を向ければ、世界中の子どもたちの誰もが、十分な食べものと、身体を休めるところが与えられているかというと、決してそうではありません。

また、世界中の子どもたちから笑顔が消えてしまったかというと、幸いにも決してそうではないでしょう。ただ、このような矛盾がいっぱい詰まっている世界の中で、果たして私たちは子どもたちの未来に何ができるかです。

今回の見本市では、子どもたちの未来から笑顔が消えないために私たちは何ができるかが、メインテーマだったように思います。
例えばそれは、むやみに森林伐採されたり、安易にイミテーションが創られたり、一方的な価格破壊が起こってしまったり、無意味な増産によって市場の混乱がひき起こったりなど、これらの行為のどれもが、子どもたちの未来を知らず知らずに破壊することにつながっていると言えるからです。

見本市会場のメインホールに立つと、大きな樹が一本、会場のシンボルとして立っていて、そこにはこんな文字が書かれていました。

[ Toys go green ] 自然に返ろう〜

それは、経済的にも社会的にもある程度の発展を遂げた私たち自身への警告として、子どもたちの未来、すなわち世界の「環境」のいまを考えましょうということでした。

12ある展示会場ごとに、メインテーマに添った提言とおもちゃが飾られ、参加企業全体が、それぞれのいまを考え、そして未来へ向かうメッセージを発信していました。これらの光景から私は、改めて「おもちゃ」がつなぐ世界観があることを感じました。

そう言えば、今年のメインホールのシンボルの樹の周りには、さりげなく再生紙で作られた段ボールの椅子が置かれ、見本市会場内を駆け回る私たちを癒してくれました。

展示会場を闊歩したあと、どっしりと腰を落として、しばしの休息を楽しむ大人たちの表情が、愉快で素敵でした。

このしつらえが、子どもたちに届けたい「未来メッセージ」なのでしょう。

おもちゃがつなぐ世界の子どもたちの未来に乾杯です!!

〜たちのゆみこ〜