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天高く馬肥ゆる秋〜「五穀豊穣」って??〜

ようやく穏やかな秋晴れの日を迎え、今年も日本列島の各地で、収穫の秋がはじまりました。
ただし今年の秋は残念なことに、いつもの秋とはちょっと違い、3/11の被災から半年以上が過ぎましたが、時間の経過とともに、自然界には日に日に厳しさが漂っています。

それでも、秋は昔から、「五穀豊穣」を願うといわれています。今月のメールキッズでは、先人たちの教えにある秋の恵みに思いを馳せながら、「五穀豊穣」について探ってみようと思います。

「五穀」のまず最初は、主食のお米です。
それ以外の穀物にはいろいろな説があるようですが、「麦」「粟」「豆」「黍」あるいは「稗」をさすようです。

「麦」には、大麦、小麦などがありますが、大麦は伝来が3世紀頃と大変古く、寒冷と乾燥に強いため米の裏作として栽培されてきた歴史があります。また、脱穀して酒や醤油・味噌など多くの発酵食品の原料としても活躍しています。

「粟」も縄文時代の遺跡から発掘されるなど米よりも古くからあり、庶民にとっては大切な作物でした。
今では、お菓子の粟おこしや粟粥としてかろうじて存在していますが、ミネラルや食物繊維が豊富なため粟そのものの効用が、最近、また見直されてきています。
それから、諺にある『濡れ手であわ』というのは「泡」を指すのではなく、こちらの「粟」の字が本来の意味です。
この諺の意味は、苦労をせずに利益を上げることを言いますが、もともとの言われは、「濡れた手で粟をつかむと一度にたくさん掴めるから〜」というのが語源で、偶然にたくさんの利益を掴んだことからくる「棚からぼた餅」の意味とは違い、暮らしの一場面の発見からきているようです。

「豆」にも様々な種類がありますが、その中でも大豆と小豆がその代表といえるでしょう。
とりわけ、大豆はタンパク質など栄養価が高く、豆腐などに加工され健康を維持する食品として世界的にも注目されています。
小豆は和菓子に使われるだけでなく、白米とあわせて炊くことでおめでたい席には欠かせないお赤飯になります。
かつては、赤米でお赤飯を作っていたそうですが、今では長寿を祈る小豆の方がポピュラーになっています。事実、健康/忠実と書いて「まめ」という地域もあるくらいです。
ちなみに大阪弁で、「あんたまめやな〜」と言われたら、細かなことにもよく気がつく几帳面な人のことを言います。

「黍」は、昔話の桃太郎に登場する『きびだんご』が、最も有名ですが、弥生時代に中国から入ってきたといわれる黍は、その実が黄色であることから黄実→きびと呼ばれています。
桃太郎伝説のふるさと、岡山を吉備というくらいなので、穀物としては昔から大変重要視されたものだと思われます。
但し、現在のきびだんごには、なぜか黍は使われていないのだそうです。

さらにもう一つ五穀の雑穀として登場するのが「稗」です。
昔から神様にお供えされる穀物で、脂質がない低カロリーの稗は、近年ではお粥にしてダイエットフードとしても注目されています。稗粥はアイヌ料理の一つでもあります。古事記を編纂したのは稗田阿礼といわれるように、かつては稗の田んぼは、日本では古くからポピュラーだったのでしょう。

この五穀起源の日本神話に登場するのが保食神(うけもちのかみ)です。日本書紀の一書によると、食物神であるウケモチ神は口から大地に向かってご飯を、海に向かって大小の魚を、山に向かっていろいろな獣を吐き出したところ、口から出したものを客に出すとは何事かと怒ったツキヨミ神に斬り殺されてしまいます。
ところが、ウケモチ神の死体からは、頭頂から牛馬、額から粟、眉の上に蚕、目の中に稗、腹の中に稲、陰部から麦、大豆、小豆が生じていたと記されています。
私たちは、今でも食物神・ウケモチ神の体をいただいているというお話です。

最近では、五穀だけでなく十穀/十六穀ブレンドなど雑穀がブームになっていますし、その穀物の実る色を最初から選別して栽培し、「写楽」や「風神雷神」などの田んぼアートも登場しています。これらもすべて、秋の実りへの感謝の気持ちを表す現代の芸術作品のひとつというわけでしょうか。

このように実りの秋に感謝することが、先人たちの教えの中にはたくさんあるのを今更ながらに思いますが、みなさま、いかがでしょうか??

かくいう私、先日、鳥取/用瀬で稲刈り初体験をしてきました。「古代人の恵みに感謝〜!」というお誘いで、無農薬栽培をしている田んぼで育った赤米刈りを体験しました。

雑草とともに、縦横無尽に立派に育った稲を、機械を使わずに手刈りするという、いささか驚きの体験で、稲刈り後の後遺症の筋肉痛の記憶の方が大きかったのが??ですが、秋晴れの田んぼで、無心に先人たちに思いを馳せて稲刈りに没頭した体験は、農家のみなさんの日々の努力には及ばないにしても、収穫の大変さと有り難さを同時に味わう一日となりました。

「五穀豊穣」、まずは今年の実りに感謝です!!

「感謝のあるところに命は絶えない〜」これこそが、いま、私たちが、一番、忘れてはならないことなのかもしれません。

たちのゆみこ