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日本人の「遊び」はいま、どうなっているのか? ー『遊びはいま』 朝日新聞世論調査からー

2013年4月27日付けの朝日新聞に掲載されていた興味深い世論調査結果を見つけました。テーマは「遊び」についてです。

紙面の冒頭にはこんなことが書かれていました。
『今年は、ファミコンの発売、東京ディズニーランドの開業から、ちょうど30年。この間、大きく変貌を遂げた日本人の「遊び」は、いま、どうなっているのか。朝日新聞の世論調査結果が、今年の7月に詳しい集計と解説が出ます』と。

ファミコンもディズニーランドも、同じだけの時間経過があったことに気づいていなかっただけに、何だかとっても興味が湧く紙面に釘付けになってしまいました。
そこで今回のめーるきっずでは、ひと足早く、日本の『遊び』のいまを探ってみようと思います。

調査では、「よくやってる遊び」と「お金や時間に余裕があればやってみたい遊び」を同じ25の選択肢の中から複数選んでもらったもので、これは遊びの「理想」と「現実」のギャップを探るためのものでした。

その結果、「よくやってる遊び」では「テレビ、ビデオを観る」が46%でトップ。「国内旅行、ドライブ」が38%で2位。
しかし、「やってみたい遊び」では、「国内旅行、ドライブ」は53%でトップになり、「テレビ、ビデオを観る」は7%と一気にランクが降下しています。
これらの項目はいずれも男女差の最も少ない「遊び」でしたが、スポーツやショッピング、アウトドアーやギャンブルなど、明らかに男女差のある「遊び」も存在していることがわかりました。

さらに判明したことは、『遊び』にまつわる男女差は、調査対象の年齢(20〜70歳代)の幅によってもさまざまな現象があることでした。
例えば、「美容、ファション」について男性はわずか2%女性は19%ですが、そのうち年齢が20代では5割に相当する男女共に興味があると回答しています。
また、「やってみたい遊び」の1位だった「国内旅行、ドライブ」も20代の71%が選択し、「海外旅行」については、20〜30代の6割前後が選択していますが、「海外旅行」は、女性の方が男性の割合を上回っているという興味深い結果でした。

そして、「やってみたい遊び」が「よくやってる遊び」を上回ったのは、「習い事」と「スポーツ観戦」だけでしたが、「習い事」については30代の女性36%、「スポーツ観戦」については、20〜50代の男性の2割近くが選択したそうです。

次の考察として、「人は遊びにどんなことを求めているのでしょうか?」ですが、これについて、6つの選択肢から2つまでを選んでもらったところ、「友人や家族との交流」が71%で断トツ。「健康」「見聞・知識」「非日常性」「暇つぶし」と続きます。
「交流」を求めるのは女性が圧倒的で、年代別では意外にも若年層が多く、20〜40代で8割前後に達する結果となりました。
また、「健康」については年代が高くなるほど増え、60〜70歳代以上では5割を越えるという圧倒的な結果となりました。

さらに興味深い調査結果として挙げられるのは、昔からある遊びから、子どもの頃によく遊んだことのあるものをいくつでも選んでもらった結果です。
「あやとり」「折り紙」「たこあげ」「こま」「おはじき」「竹馬」「お手玉」「けん玉」「百人一首」「はごいた」と、懐かしい遊びが並んでいます。

白百合女子大学教授(玩具文化論)の森下みさ子氏は、これらの調査結果から、『「よくやってる遊び」と「やってみたい遊び」を見比べると、今の大人は「すき間の遊び」と「固まりの遊び」のバランスがとれています。「すきま」とは仕事や日常生活の合間にリフレッシュをはかるもので、テレビやビデオ、読書やマンガ、音楽を聴くなどがそれに当たり、「固まり」とは日常から離れて時間やお金をたっぷり使うことで、「海外旅行」が典型です。ところが今の子どもたちから「すき間」や「固まり」の遊びを覚える前に体験すべき「土台の遊び」をする場が減っています。就学前に地域社会で、さまざまな年齢の子どもと触れ合えるチャンスがめっきり減っていて、鬼ごっこ、かくれんぼ、ままごとなど、そのとき、その場に集まった人数や年齢に合わせて変化する遊びの体験があまりにも少なくなったことです。その意味で昔からの遊びは、遊びの変化に対応し工夫していくことができる、「土台の遊び」と言えるでしょう』と。

また、もう一人千葉大学教授(教育方法学)の藤川大祐氏は、『30年前、ファミコンが誕生したときに小学生だった世代は、大人になっても、仕事の合間や電車の移動中などのすき間の時間にゲームで遊んでいることがうかがえます。近年は、「脳トレ」や「Wii」のような大人でも子どもでも楽しめるゲームが出てきており、ゲームに対する抵抗感は大人の間では薄れてきています。しかし、ここで注意しないといけないのは、ゲームには野球や将棋などの遊びにはない特徴があることです。それは従来の遊びでは、上手な子や年上の子に与えるハンディを自分たちで考えたり、状況に応じてルールを変えるなどの工夫ができますが、ゲームはそうした工夫の余地がほとんどないこと、与えられたパッケージでその世界を楽しむ極めて「受け身」の遊びだということです。場所や時間に限界があり、体力的にも際限なく遊ぶことができない従来の遊びとは異なり、ゲームは睡眠不足でも続けられるし、時間制限もなくただひたすら続けることができることが昼夜逆転を安易に引き起こしてしまう起因なのです。それ故、対人関係を磨く経験は不足しがちで、世代が異なる人に通じる話し方や言葉選びが身についていない若者も少なくない現象が起きています。ゲームをすること自体は悪いことではありません。問題は、惰性でゲームをし続けることです。依存症にならないためには、むしろ熱中し、その代わり決まった時間になったらスパッとやめることでしょうか。』

さて、みなさん、すっかり様変わりしてしまった日本人の「遊び」のいまについて、どんな感想をお持ちになりましたでしょうか?

『遊び』が変わってしまったのか、『遊び』の形態が変わったってしまったのか? 一概にファミコンやゲームの進化だけが問題だとは言えないものの、いま何が本当に足らないのか?本当は何が必要なのか?を考えることは急務のような気がしてなりません。

例えば、「土台の遊び」の場をつくるためにと公園や児童館などの建物だけを乱立しても解決にはならないような気がするのです。子どもたちの遊ぶ姿が確実に減ってしまっている都会の現状を見て、もっと意識して、街のなかに遊びを取り戻す努力をする必要は間違いなくありそうです。

そう言えば、街の至る所や、移動中の電車の中まで携帯電話に夢中になっている大人たちの姿が、気になって仕方ないのですが、これって、小さい子どもがどうしても手放せない玩具を握りしめてだだをこねてる姿と重なってしまうのはなぜでしょうか??

日本の『遊び』の変遷をたどってみる価値はありそうですね。

たちのゆみこ