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国連演説 『マララ・デー』ー教育こそがすべてを解決するー

『勉強がしたい〜!!』と願い、誰でもが純粋に学ぶ権利を主張し、そのことで声をあげたというだけで、生命を狙われ、狙撃され頭部に大怪我をした少女がいます。
少女はパキスタンのマララ・ユスフザイさん16歳です。

教育の機会均等、男女平等は当たり前の権利として、誰にでも与えられていると信じて疑わない社会で暮らしている私たちには、到底、想像することができない衝撃の出来事でした。

これは昨年10月にパキスタンで実際に起こった、女子が教育を受ける権利を訴えたことから、武装勢力・タリバーンによって、頭部を撃たれたマララ・ユスフザイさんが九死に一生を得て回復したというニュースです。

このたび、彼女の回復を機に、国連では、彼女自身の歳の誕生日である7/12に、怪我からの回復と彼女の誕生日を祝い、『マララ・デー』と題し、世界80カ国以上約500人の若者を国連本部に招待したというニュースが世界をかけ巡りました。

国連では、『教育こそがすべてを解決する』という、マララさん自らの銃撃の体験にふれた演説が行われ、「何千もの人が、テロリストに殺され、何百万人もが負傷させられました。私もその1人です。テロリストは銃弾で私たちを黙らせられると考えましたが、私たちは止められません。私は誰も憎んではいません。タリバーンやすべての過激派の息子たちや娘たちにも教育を受けさせたい」と、テロに屈しない強い姿勢と、教育への思いを訴えました。

マララさんの国連演説要旨(朝日新聞編集掲載より)
ー 教育こそが、すべてを解決する!! ー
『マララ・デー』は、権利を訴えるすべての女子や子どもたちの日だ。女性や子どもたちのために、教育を受ける権利を訴えたい。何千もの人がテロリストに殺され、何百万人が負傷させられた。私もその1人だ。その声なき人々のためにも訴えたい。テロリストは私と友人を銃弾で黙らせようとしたが、私たちは止められない。私の志や希望、夢はなにも変わらない。私は誰にも敵対はしない。誰も憎んでいない。
タリバーンやすべての過激派の息子たちや娘たちに教育を受けさせたい。過激派は本やペンを怖がる。教育の力、女性の声の力を恐れる。世界の多くの地域で、テロリズムや戦争が子どもの教育の機会を妨げている。すべての政府に無償の義務教育を求める。世界中の姉妹たち、勇敢になって。知識と言う武力で力をつけよう。連帯することで、自らを守ろう。本とペンを手に取ろう。それが一番強い武器。1人の子ども、先生、そして本とペンが世界を変えるのだ。教育こそがすべてを解決する。

ユネスコによると、パキスタンの小学適齢期の女子のうち、約3分の1 にあたる300万人以上が就学していないといいます。
マララさんの事件後、現地では軍が厳戒態勢を敷き、タリバーンの活動は減り、多くの子どもたちも学校に戻りはじめてはいますが、タリバーンへの恐怖が消えたわけではありません。
まだまだ何千人もいるといわれるマララさんと同じ境遇の少女たちは、今も迫害を恐れず、「学校に行かせて」と訴え続けているのです。
そして少女たちの誰もが、「1人1人は普通の少女でも、勇気を持って力を合わせれば、いつかこの国は変わるかもしれないから」と、迫害を恐れずに主張を続けているのです。

「教育」に対する熱意がここまで真剣であるのはなぜ??
自分自身が生きてきたこれまでの生き様の中で、こんなにも熱い気持ちで学ぶことに執念を燃やしてきたことがあったでしょうか??
たとえ、自らの生命と引き換えになっても学びたいと声をあげるマララさんに対し、私自身はいったい何ができるのだろうかと、正直、唖然としてしまいました。

マララさんの国連演説から、かつて見た映画で、『おじいさんと草原の小学校』という、アフリカ・ケニヤにいた実在の人物で84歳の小学生のお話を思い出しました。
主人公のキニマ・ガン二・マルゲさんは、2003年、イギリスから独立したケニヤ政府が、小学校の無償化に乗り出した頃、村人は大挙をなして小学校に押しかけ大混乱となりました。そこへ、現れたのが杖をついたマルケ老人で、「私も小学校に入りたい、読み書きができるようになりたい!」と訴えるのです。
「すべての国民に門戸が開かれたから〜!」と訴える老人の訪問に戸惑う学校でしたが、その訴えに耳を傾けた校長先生の理解から、「84歳の小学生」が現実となったのです。
もちろん、この話は簡単ではありません。彼の処遇は二転三転し、周囲から大きな迫害を受けながらも、信念を貫く老人の学びへの執念は、アフリカの独立運動と近代化が背景に深く潜んでいたのです。

部族間の軋轢、急速な近代化など、そのどれもが悲しい出来事で忘れてはいけないこととしてこの映画では描かれていました。

マルゲ老人は、これまで一度も教育の機会を持たないまま、イギリスからの独立を目標に1963年のケニア独立までマウマウ団の戦士として闘ってきました。
2003年にやっと悲願だった小学校への入学を果たし、2004年には「世界最高齢の小学生」としてギネスにも認定されました。
そして、2005年には、毎日5キロの道のりを歩いて学校に通い続け、学校で主席に選ばれました。そして、同年、国連の国際会議において、マルゲ老人は、今なお1億人以上の学校に通えない子どもたちのためにスピーチをしました。

そのときの言葉は次のようでした。

To me, liberty means going to school and learning.
I want to learn more and more.
            〜Kimani Ng'ang'a Marge〜

私にとって、自由とは学校に行き学ぶこと。
私はもっともっと学びたい。
          〜キマニ・マルゲ〜

今回のマララさん、そしてマルゲ老人のことを通し、改めて『学ぶ』ことの意味、学校に行くことの価値を考える機会になりました。

誰でもが普通にできると思っていること事態が、実はそれほど簡単ではないと言う現実にも目を向けなければなりません。

マルゲ老人は、息を引き取る瞬間まで,獣医になる夢を持ち、自分と同じように、待たされることなく誰もが教育を受けられる世界を目指し、あきらめずに勉強を続けたそうです。ちなみに享年90歳でした。

世界中の子どもたちにとって「学ぶ」ことが、大きな喜びとなって欲しいと願わずにはいられない気持ちです。

たちのゆみこ