トピックス

「品位」と「伝統」の世界    相撲・八卦よいの意味って〜??

今年も3月第2週目から大相撲大阪場所がはじまりました。

しかし、いつの間にか横綱朝青龍は現役を去り、たった一人しかいない横綱白鵬ではじまった今年の大阪場所は、どこか今ひとつ活気がないような…、そんな気がしていますが、みなさまいかがですか?

特別、相撲に興味がなくても、ここ数年、何かと話題が絶えない相撲界でした。
ことあるごとに「品位」「伝統」「国技」…という言葉が、飛び交いましたが、何分にも外国人力士が優位に立ついまの大相撲界からは、どこかミスマッチな議論のようで、違和感を感ぜずにはいられませんでした。

忘れてはいけないですが、相撲は古来よりいわずと知れた日本の『国技』です。
しかし、現状では外国人力士も増え、武道と言うよりもスポーツとしての印象の方が強くなった気がして、いつのまにか相撲が神事であることは忘れられつつあるように思います。

ただあまり偉そうなことは私自身も言えませんが、『神事』についての知識そのものが、私たちの生活から薄れてきているような気がしています。

そこで、今月のめーるきっず通信では大阪場所開催にちなんで、相撲に関する逸話に触れながら、日本文化とのつながりを考えてみようと思います。

まずはじめに、相撲に関する逸話は記紀の中にも数々あり、『古事記』においては、弓で狩猟をする軍神・建御名方神(タケミナカタノカミ)が、『日本書紀』においては、垂仁天皇7年(紀元前23年)7月7日の野見宿禰(ノミノスクネ)と當麻蹶速(タイマノケハヤ)との戦いが相撲の起源とされています。とりわけ宿禰は相撲の始祖神として今でも祀られ、奈良県桜井市の穴師坐兵主神社などで五穀豊穣を祈る農耕儀礼が神事として執り行われているそうです。

農耕儀礼の中で、その年の豊穣を占う「年占(としうら)」で、泥がつけばつくほど良いとされ、「どろんこ相撲」や赤ちゃん同士を向かい合わせて早く泣いた方が吉という「泣き相撲」などは、いまでも各地で行われています。従って、テレビで中継される大相撲でも神事の名残はここかしこに見受けられるのです。

例えば、土俵は「俵」の字のごとく農業に関連があり、土俵中央には鎮め物として『かやの実、勝栗、昆布、スルメ、洗米、清めの塩』が収め埋められています。
土俵上では、神事には欠かせない『塩』『水』『紙』が用いられているというのも忘れてはいけません。
まずはじめに『塩』は、地中の邪気をはらって清め、力士が負傷しないことを祈る意味があります。
力士が豪快に塩をまく姿は見ていて気持ちがいいものですが、これらはすべてが清めの神聖な儀式に由来しているのです。
次に『水』は、「力水」といって力士が土俵に上がる前にその身を清めるために使う水のことですが、土俵の下の水桶の水を口中に含んですすぐことを「水をつける」と表現します。
水は五穀を実らせ、穢れの塵をはらう意味をもっていて、「力水」は「水盃」とも「化粧水」とも言われています。
東西の力士が土俵上で互いに一礼して四股を踏んだ後に、前の取組で勝った力士から柄杓でこの「力水」をもらいます。
最後に『紙』は、「力紙」「化粧紙」として登場し、これで口や顔を拭きます。

このように取り組み前の3つの神事アイテムは、海から生まれる『塩』、山から湧き出る『水』、そして木や植物を加工してできる『紙』ということをつなぎ合わせて考えると、すべては森羅万象、大自然のいとなみの中で神聖な競技が展開されているということになります。
ですから、その頂点にたつ横綱には、<品格>というものが誰よりも望まれるのかもしれません。

さらに行司が発する「はっけよい!」は、年占でいうと易占いの「八卦よし」からきているともいわれています。
吉凶は東西のどちらにあるのか…。互いに四つに組んだ相手に対して行司がかける「のこった、のこった、のこった」の声は、まだどちらともいえないということを相撲の神に実況しているのでしょう。

『相撲』のことを調べてみて、これほど多くのさまざまな所作が神事と重なっていることにびっくりです。
その所以を知れば知るほどに、形式や立ち居振る舞いの中に理屈抜きで受け継がれていくものの大事さがあることにも納得がいくような気がしてきました。
今更ながら、日本文化の由来を再考してみるのも大事かなと、その深さに敬服するばかりです。

いまでは相撲界に現役の日本人横綱がいなくなって何年が過ぎたかも思い出せないくらい大相撲は様変わりしてしまったかもしれませんが、どんな時代になろうとも、変えてはならないものは残り続けていくことでしょう。
もちろん、それは相撲の世界だけのことではなくです。
では、春場所、夏場所、本場所、秋場所、冬場所と、これからは誇り高い神事の観点から相撲を見てみるのも大事かもしれません。
スポーツとしての楽しみ方に加え、伝統文化としての楽しみ方を改めて思った次第です。

それではみなさま、八卦よ〜いでございます!!

〜たちのゆみこ〜