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緑の季節を迎えてー「日本茶の効能」と、世界のお茶文化 ー

桜の春が終わったあとには、緑の季節がやってきます。
日本では、「緑」と書いて意味するもののひとつに、「お茶」がありますが、お茶は日本が誇る、「健康食品」の代表です。

それはなんといってもお茶に含まれるカテキンの効能にあるからですが、ちょっとひと休みしたいときに美味しいお茶を飲めば、その一杯で心がほっこりします。季節の変わり目のむし暑さと肌寒さが、まだ入り交じる季節だからこそ、美味しいお茶の一杯がうれしいですね。

そこで、今月のめーるきっず通信は「お茶」のお話しを、みなさまにお届けします。

まず、日本茶が歴史に登場したのは、平安初期と言われていますから、すでに1000年以上の歴史があります。
遣唐使が平安時代に、唐からお茶を持ち帰ったことが、日本茶のはじまりだと言われています。
すでに平安時代の詩歌集にお茶の記述があることから、上流階級の間では、嗜好品のひとつとしてお茶は飲まれていたと考えられています。

そして1200年ごろには、日本でも本格的にお茶の効用や、茶葉の製法などが確立され、『喫茶養生記』という源頼朝に献上された手記が、日本初の茶書として有名です。
その後、鎌倉時代では茶寄合いなどが行われるようになり、茶歌舞伎といった茶の湯が栄えていったとのことです。

さて、今回の主役の「日本茶」に含まれる、カテキンの効能は主に二つあります。

1.抗酸化作用・・・老化を防ぎ、生活習慣病を予防する
2.抗微生物作用・・・病原細菌を殺菌し、解毒、ウィルスの感染を防ぐ

細菌学や免疫学を研究する学者が、コレラ菌に一滴のお茶を加えて顕微鏡で観察したところ、今まで活発に運動をしていたコレラ菌が一瞬にして止まり、みるみるうちに菌が凝集していったといいます。その後、コレラ菌だけでなくさまざまな病原細菌も殺菌することがわかっていきました。こうしたことから、食事時にお茶はかかせませんし、お茶でうがいをすることもよいといわれています。

このカテキンを世に知らしめた昭和大学医学部教授の島村忠勝氏は、「菌に勝て!」という発想から「カテキン」とネーミングしたんだそうです(笑)。 しかしながら、島村氏がお茶の研究をはじめられたのは、お茶を飲むとすがすがしくなるという独特の癒しパワーに魅了されたからなのだそうです。

「お茶はまるで人のようである。お茶は、ほどよい温度のお湯で、程よい時間をかけていれると、まろやかで、実においしい。熱いお湯で入れると渋い。お茶はまじめである。
心をこめてお茶をいれると、おいしいし、ぞんざいにいれると、お茶は応えてくれない。お茶は人のように、いれる者の心を見透かしているようだ。急須でいれるお茶は二度と同じものはない。一期一会のお茶である。おいしいお茶にめぐり合うとうれしいし、楽しい。すがすがしい人に出会ったときのように」と、お話されています。

また、お茶は日本だけでなく、いろいろと形を変えて私たちの生活に入り込み、その国々の文化を支えているともいえるでしょうか。

中国では「医食同源」、イギリスでは「紅茶文化」へと、それぞれのお国事情で発展を遂げています。

かつて中国・福建省ではじまったと言われる「茶」は、醗酵方法や、製造時間の違いによって、色も形も飲用の方法までもが世界中で変化してきたのです。

夏も近づく八十八夜。立春から数えて88日目の日に摘んだ新茶は最も上等とされ、この日にお茶を飲むと長生きするともいわれています。さらに日本では、茶寿は百八歳の長寿を祝う年齢です。健康と美容のためだけでなく、緑の季節がはじまったこの時期、ちょっと美味しいお茶にこだわってみるのも良いかもです。

たちのゆみこ